05.06.01:19
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09.07.18:40
それは君のそばに
でたらめに熱くローストされた鉄板の上で
寝そべるステーキの執拗な熱さに
似た陽気に踊らされながら、
ずっと広がる青空を漂う湿った秋の匂い。
俺は、ここ数日。
自分の心の弱さに悩まされる。
鉄板、いや核シェルターくらい
強い心だと信じていた自分の心。
だけど、男はみんな女に対して
疑問を抱きそれは永遠に解けない。
ソーダ水の気泡のように沸いて
出てくる感情の伝わり方や
女の考えなんて、円周率なみに
紡ぎだされる永遠に終わりの無い
謎みたいなものだ。
体で繋がっていても。
心で繋がっていないと幸せって
感じないことと同じように。
体は、誰かと繋がって満足し
心は、誰かと繋がって何かを確信する。
それは、普遍的な法則かもしれない。
いつだって、それは突然に始まり
突然に終わる。
俺の恋の始末なんてそんなところだろう。
日頃の行いが悪いせいで、
なぜか嫌な思いをしても納得できる
打たれ強さはモテない末期症状だ。
そして、最後に俺は呟くんだ。
この腐ったケーキを君に捧げるってね。
だけど、この最後のフレーズを
理解するにはここ数日に駆け抜けた
俺を持て遊ぶ魔女と友達とその元カノが
関係している。
そして、この学生最後の夏休み。
その終わる寸前に落ちた稲妻。
でも、その稲妻に照らされた僕たちの
感情は一生忘れないだろう。
綱渡りの恋の先には、何か薄暗いけど
目を細めれば見えるものも待っている。
それは、誰だって予想できる結末。
だけど、最後の夏だからこそ余計に
悲しく胸に染み込み、誰もが
持っているくたびれたスポンジに優しさが入り込む。
いつまでも自分の思いが
何かを変えられる力は無いと思ったんだ。
いつになれば、後悔なのか成長なのか
分かるのだろうか。
俺はこの出来事を秘密にしようと
思うんだ。
書かれた文には真実は紡ぎ出せない。
そして、俺たちの淡い思いも全ては
社交辞令の文章によって、
機械的にシュレッダーに掛けられ
俺の4年間の思いは紙ふぶきの如く
吹けば簡単に秋風に散っていくんだ。
でも、その行方は追いかけないことにする。
幸せと運命、そして愛と恋の関係性を
論理的に説明したってそれは気休め
にしかならない。
だから、明らかにしても仕方ない。
この広い世界で君と出会い、君と記憶を
共にできたのだから良いじゃないか。
そして、止まらない思いが弾け飛んだ時に
俺たちはどこか空に溶け出した夕焼けの
光に照らされ何か一つ大事なものを手に入れた
満足感で満たされる。
ずっと好きなんだ。
これだけは、恥じらいと
嬉しい気持ちを見てくれの良い
綺麗な包装紙に包んで心に
しまっておくことにするんだ。
今、一番大切にしなくてはいけないのは
自分が置かれた現実。
どこか、重ね合わされたことで見えてくる
二人の心の交差点は時の流れの工事現場で
どちらの車線も一方通行なのだ。
そして昨夜、自棄酒をした俺は
なぜか記憶がまばらにホールのケーキを買い。
テーブルに置いて、酔ったまま寝てしまった。
朝、目覚めると頭の中に大音量のIPODを
置き忘れたような頭痛と宇宙飛行士さながらの
無重力を味わったあとの地球の重力に押し潰され
心地の悪い身体のだるさ。
そして、ケーキの生クリームは、
暑さでだらしなく溶けて
俺を弄んだことを詫びるようにお辞儀をしている。
このケーキを食わせれば、
どんな閑散とした地方の
病院も大繁盛間違いなしだ。
俺は、甘い食べ物が
嫌いなのは誰もが知っていること。
何年ぶりに見る俺の目の前に横たわる
卒の無い化粧を施され
凛とした汗をかいているケーキ。
まるで、お前の寝顔を見てるようだ。
だから、俺は思った。
俺の行動を乱すほどお前は
俺を4年以上も魅了していたんだ。
この腐ったケーキをお前に捧げるって。
そして、俺の一番愛した女への思いと
腐ったケーキの行方はみんなはどこへ
行ったかわかるよな?
そう、それはまとめてゴミ箱の中さ。
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